第1夏 追憶の夏

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僕は霧橋零蔭(きりばしれいん)、高校1年生の15歳。 今は太陽が照りつける地獄のような日々の中で夏休みの宿題に追われている。 今日は宿題である、日記を書くことにした。 本棚の奥で寂しそうに横たわっている日記帳を開き、自分の頭の中にあるわずかな記憶を日記帳に書かれた出来事を使い、パズルのようにして思い出を蘇らせることにした。 [2110年 5月10日 晴れ 今日は僕の誕生日、14歳になった。 僕の大好きなモンブランを2つもたいらげ、誕生日プレゼントに空飛ぶ靴を買ってもらった。来年の誕生日が楽しみだなぁ] [2110年 6月17日 くもり 今日は中学校最後の体育祭があった。 3年N組のみんなの力を合わせて、総合優勝が出来た。最高の思い出と仲間に感謝!またいつかこのメンバーで体育祭をやりたいなぁ] [2110年 7月7日 雨 昔は七夕と呼ばれていたらしいけれど、もうその文化は無くなってしまったらしい。どんなことをする日なのかはわからないけど、興味があるから調べてみようかな…] 飛ばし飛ばしではあったが、2106年から始まり、約1ヶ月ごとぐらいに日記が書かれていた。 そして、最後の方に記憶にない出来事が書かれていた。 [2110年 8月5日 晴れ 今日は部活の帰りに森へ寄り道したら、不思議な少女に出会った。名前は零華(れいか)だった気がする。 水色の髪に、色白の肌でとても美しかった。] 僕の記憶に、零華という少女はいないし、名前すら聞いたことがなかった。 そして変なことに日記は2110年 8月5日で終了していた。
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