第3夏 忘れられない夏

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第3夏 忘れられない夏

零華はしばらく泣き止まなかった。 「零蔭君、すぐに会いに来るって言ったじゃん…私は出会ったその日に一目惚れをして、次に会える日をずっと楽しみにしてたの…」 僕はをすぐに会いに行くなんて行った記憶がなかった。そして零華が泣き止んだ。 僕はずっと黙っておくのは悪いと思い、本当のことを語った。 零蔭「僕は君との思い出なんて知らないんだ!出会ったことも、話したことも全て記憶にないんだ!」 零華「私と零蔭君はちょうど1年前にここで出会ったの。2人とも両親がいないという境遇だったから、分かり合えるのが凄く早かったんだよ…?」 僕は思い出そうとした。記憶の図書館から必死に去年の出来事を探した。その時、激しい頭痛が僕を襲い、倒れてしまった。 零華「零蔭君、ここがどこか分かる?零蔭君が急に頭を抱えながら倒れたから心配したんだよ」 僕は30分ぐらい意識を失っていたそうだ。 そして、去年の出来事の一部が蘇ってきた。 零蔭「零華、記憶が少し蘇ってきた…。僕は家族がいなくて愛を知ったことがなかった。ただ、零華と出会い、初めて愛を知ったんだ。零華は僕にとって太陽のような存在だった」 零華「私もそうよ。幼い頃に親に森で捨てられて、愛なんて知ったことが一度もなかったの。だから、零蔭君に一目惚れをしたの」 これが両想いって奴なのかと僕は思った。 初めての淡い愛を思い出し、泣きそうになった。 零蔭「零華、本当にごめん。もう離さない。一生そばにいる」 零華「私も零蔭君のそばにずっといたい。初めて知った愛を大事にしたい」 2人は抱き合いながら、1年分の涙を流した。
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