第二章:『恐れはない、痛みもない、NoFace』

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第二章:『恐れはない、痛みもない、NoFace』

・・・ ほのかの父はノンキャリア組の警視であり、組織犯罪対策部の下に新設された 超常犯罪集団対策課の課長を努めていた人物だった。 当時そのことは極秘とされており、当然ほのかも父から聞かされたことはない。 それをほのかに教えたのは――フェイスと呼ばれる仮面の戦闘員だった。 ・・・ 「――ほのかー、あきらがアイスないから買ってきてだって」 「おいこら、火之夜。呼び捨てにしないのっていったでしょーが!」 ばこん、と鞄で頭を容赦なくはたかれ思わず抱えてうずくまる。 「いってー! やりすぎだって!」 「あ、ごめんごめん。でもほのか姉って呼びなっていってるでしょ」 肩まで伸びた黒髪の少女が、からからとわるびれなく笑う。 夏服のセーラー服よりもスポーツウェアが似合いそうな活発な少女だ。 ジンジンと痛む頭を抑えながら、恨みがましい口ぶりで答える。 「やだよ、姉貴じゃないのに姉とか呼ぶの」 「じゃあほのかさんとお呼び」 軽くあしらいながらスーパーへと歩を進めるほのか。 彼女は親友のあきらの姉だ。しかし幼いころから家族ぐるみの付き合いを していたためか、他人である自分にも弟のような扱いをしてくる。     
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