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 ばんばんと俺の肩を叩いてくる。 「痛い。強い。強い」 「あははー。ごめんごめん」    そんな俺たちの様子を見て、冴子が微笑ましく笑う。 「本当に君たちは仲がいいね」 「そんなことないよ」  美樹がまた慌てて両手を振る。 「そんなに否定されるとちょっとショックなんだけど。俺はもう友達以上と思っていたんだけどな」  慌てている様子が面白くてかぶせるように言う。すると、今度は俺のほうに向きなおって慌て始める。 「いや、そういうつもりで言ったわけやないよ。私が君のこと仲良くないと思ってないとかありえやんやん。友達やって。仲の良い友達」 「どれぐらい?」 「え?」 「俺と美樹はどれぐらい仲がいいの?」 「うっ」  言われて言葉に詰まる。両手を開いて指折り数える。何を基準に考えているのだろう? その慌てっぷりが小動物のようで見ていて飽きない。 「……うーーー」  思った以上に長い時間悩んでいた。そして、意を決したように顔を上げて言った。 「恋人以上、友達未満!」 「……それを言うなら友達以上恋人未満でしょ……」 「ほんまや。しまった」  どっと笑い声が起きた。恥ずかしそうにしている美樹を見て俺は心地よい感覚に包まれていた。少なくとも俺は友達以上に見られていると分かっただけでも収穫だった。 「おまったせしましたー」  店員が焼きそばを持ってきて雑にテーブルの上に並べていく。 「ほら、焼きそば来たよ。食べようぜ」  俺が促すとまだ笑いを堪えている冴子と成田が割り箸に手を伸ばす。 「ほら」  美樹に割り箸を手渡してやる。美樹はまだ恥ずかしいのか顔を両手で覆って俯いている。そっと頭に手を置いて言う。 「ここの食べ物はおいしいんだろ?」 「……馬鹿にしとるやろ」 「してないよ」 「絶対嘘やん。顔笑てるやん」 「笑ってないよ。ぷっ」 「笑ろてるやん!」 「ごめん。ごめん。ほら食べようぜ」  美樹の前に焼きそばを滑らせる。まだ頬を膨らませていた美樹が目を輝かせる。 「この塩っ気が強すぎるジャンク感が美味しんだよね」  急に態度を変えホクホク顔で割り箸を割って焼きそばを食べ始めた。
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