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「うそ……、ガッカリすぎる」
反対方面の列へ並ぼうとしてるコウくんの後ろ姿を見て、あたしは思わず立ち止まってそう言った。あたしの声が聞こえて振り返った、コウくんの不思議そうな顔を今も覚えてる。
「ナッツ、どうしたの?」
あの頃、まだ付き合ってなかったからコウくんは他の友達と同じようにあたしのことをナッツって呼んでた。
コウくんが訊いてきたことに、
「電車、反対の方向だって今わかった」
あたしはそのままの返事をした。
「えっ、そうなの?」
「うん」
「そういえば教室で、路線の話はしたけど、どっち方面とか何駅使ってるとか、そういう話、してなかったね」
「うん……」
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