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「頭が痛い。マジで機能しなくなる。」
俺の後をついてくるカメラ君は苦しそうに頭を押さる。
写真の話とは別に、お礼を先程返したのだ。
「良かったな少しは真っ当な人間なれるな。」
「真っ当ってお前だけには問われなくない。」
「マトモじゃなくても、まぁ俺は個人情報を勝手に流したりしないな。」
「だって仕方ないじゃん。俺かって悪いことには使われたくないよ。
でも情報渡して相手がどう使うかなんて予想なんて出来ないし、仕方ないことだ。」
「お前一回飛び降りて来い。そしたら俺の気持ちがわかる。」
歩きながらお互い愚痴愚痴と言い合っていると、花壇を通りかかる。
花壇の近くにモッサリとした見たことある頭が目の端にうつる。
誰だったか。
「藤村何してんの。」
そう、藤村くん。俺が答える前にカメラ君が先に答えた。今日は、昨日の昼みたいにメガネにモッサリとした髪型になっている。
それに気付いた藤村は振り向く、手袋をし右手には草、左手はスコップを持っている。
いつの間に園芸部員になっている。
「部長に弟切さんおはようございます。」
当たり前のように気兼ねなく言うが、状況が俺たちは掴めない。カメラくんは眉間を押さえる。
「藤村、何で花壇を弄ってんだ。お前当番でもないはずだ。」
「えっとですね。弟切さんにプリントを渡そうとと外で待ってまして。
そしたら担当の人達に
『本当本当に大事な用事があるから花壇やってくれない』
と頼まれて可哀想だからやってます。だって大事な用事があるんですよ。」
誇らしげな藤村君。話を聞いて勝山も俺も唖然とした。頼まれたのではない押し付けられたということに、本人は気づいていない。
「断れ馬鹿!みんな揃って大事な用なんてある訳ないだろ。
完全にそいつらサボりたかっただけだから。押し付けられてるから。」
おーい、天然じゃないのか。怒りで本音が漏れている。
ムシャクシャで顔が真っ赤なカメラくんに、怯えて真っ青な藤村くん。
「落ち着け勝山、藤村くんが泣きそうだ。」
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