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夢兎君が今までにないくらい取り乱している。あのいつも頼れて優しい夢兎君が!
「ふぇ、う、あ、だ、大丈夫だよ!うん!」
「う゛ぅ~、グスッ、ん゛~~」
む、夢兎君が!なな泣いてる…!?どう、どうしよう!
ぼ、僕が泣かせちゃった!?
わたわたと動かしていた腕を夢兎君の後ろにまわして抱きしめ返してみる。
な、泣きやんでぇぇ…。
そう思いながらぎゅーっと力をいれる。
グスグスと鼻をすする音が静かな部屋に響く。
しばらくすれば、夢兎君は落ち着いてきたみたいだ。腕の力が弱まり、ゆっくりと身体を離していく。
「取り乱しちゃってごめんねぇ?」
「ううん、大丈夫だよ。夢兎君は大丈夫なの?」
「そっか~、よかったぁ。僕も大丈夫だよぉ。心配してくれてぇありがとぉ。」
顔をあげた夢兎君は少し目元が赤くなっていたが、いつもの優しい夢兎君の笑顔に戻っていてホッと胸をなでおろした。
夢兎君はすっと立ち上がるとまだすやすやと眠っている瑠衣君の頭を勢い良く叩いた。
「っ!?!?」
瑠衣君が目を白黒させながら飛び起きる。
いい音したなぁ。痛そう。
「はぁい、起きたねぇ~。さっさと帰るよぉ」
「ぐぇっ、ちょ、ぉおおおお!」
「瑠衣うるさぁ~い」
夢兎君が瑠衣君の首根っこを掴んで玄関へ歩いていく。瑠衣君は寝起き&首根っこを掴まれているせいでちょっと歩きにくそうだ。
夢兎君が玄関のドアを開けながらこっちに振り向く。
「暁ちゃんまたね~」
「うん、またね」
手を振る夢兎君に手を振り返す。
二人が帰っていった部屋はとても静かで、ちょっと、ほんのちょっとだけさみしい、なぁ…。
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