『もう一人の知らない私』

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その日は大通付近で友人と会っていた。 帰りは主人が最寄りの駅である、南北線の麻生駅まで迎えに来てくれる事になっており、友人と別れた私は地下鉄に乗り込んだ。 終点の麻生駅で降り、待ち合わせ場所に近い一番出口を目指す。 この出口は地下鉄のホームから最も遠い場所にある。 長い一本道の通路をひたすら真っ直ぐ歩き、突き当たりの左側にある階段を昇って地上へと出る。 この出口を利用する人は少ない。 その時もほとんどの乗客は一番出口より手前で階段を昇っていった。 前方はもちろん、後方にも付近に人はいなかった。 だが、何気なく足下に視線を落とし、再び顔を上げた私の視界に映ったもの・・・・・・ もう一人『私』がいる・・・・・・!? 驚愕せざるを得なかった。 数メートル先を歩く人物は、顔こそ見えないが、私そのものだった。 同じ背格好、同じ髪型、服装・・・・・・ 先輩の言葉が甦る。 『もう一人の自分に出会うと・・・・・・死ぬ』
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