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自宅から札幌市の中心部にあるM**病院までは、車で二十分ほどの距離だった。
「ねえ、おじいちゃんがいなくなったら、どうなるの?」
車内で私が両親に向かってしきりに聞いていた言葉である。
幼少の私にとって『死』は身近ではなく、不透明なものだった。
病院から連絡があったことと両親の様子から、恐らく祖父は亡くなるのだということは漠然と理解していたと思う。
ただ、私は祖父の死というよりも、祖父がいなくなった後の日常を想像出来なかったのである。
祖父と一緒に暮らし遊んだ記憶。
それらすべてが無かったことになるような・・・・・・。
何故かそんな不安を感じていた。
病室に着いた時の様子ははっきりとは覚えていない。
医師や看護士の慌ただしい様子はもうなく、ベッドに横たわった祖父の手を祖母が握っていた。
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