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両親と親戚は会館に残ったが、私と祖母は家に帰ることになった。
少なからず疲労が溜まっている祖母と、幼い私を気遣ってのことだと思う。
会館から家までは歩いて五分ほどの距離だったので、明日の朝また戻ることになった。
祖母と手を繋ぎ、我が家までの慣れた道を歩く。
「おばあちゃんの部屋で一緒に寝る」
「そうしなさい」
そんな会話をしながら、玄関先へ辿り着いた。
ドアを開け、先に家へと入る祖母。
電気が付けられ、その肩越しに見える階段。
祖母は一階の居間へと向かい、私が靴を脱ぎ顔を上げた時。
「あっ」
白い光にぼんやりと包まれた祖父が、ゆっくりと階段を降りてきたのだ。
それは私の記憶の中で生きている祖父の姿、そのままだった。
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