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『墓地から憑いてきた女』
あれは小学三年の夏休み、お盆に入る少し前の出来事だった。
父方の親戚の墓参りへ、札幌市南区にあるH**霊園に両親と訪れた。
私がその霊園に行くのは初めてだったのだが、あまり整備されていない古い墓地だという。
「パパ、お墓あった場所覚えてる?」
「ううん。山道みたいなところ登って行ったよな、確か。まあ、行ったら思い出すかな」
両親もH**霊園を訪れるのは久々らしく、霊園内の墓の位置が曖昧なようで、昔の記憶を辿る会話が繰り返されていた。
墓地に到着し、車を降りる。
その日は北海道といえども真夏らしい炎天下で、エアコンの効いた車内から外に出ると、むっとした暑さに汗が滲み出した。
駐車場も設備されていない、小規模な墓地だったのかもしれない。
父は路肩に車を止め、私達は線香や仏花を手に墓地の入口へ向かった。
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