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いつもは見ることもない店先を、気にしてしまったのです。
そのとき、喫茶店の電飾看板が目に入りました。
白地に暗めの赤で店の名前が書いてあるシンプルなもの。
そのはずなのに、今目に映った電飾看板には緑が見えたのです。
それが何か理解してしまった私は、慌てて視線を逸らしました。
「あれは見てはいけない」と本能的に感じたからです。
その電飾看板に映っていたのは、女の人の顔でした。
表情はよく分からないものの、しっとりとして柔らかそうな髪が印象的でした。
今にして思えば、その女の人が怖いというよりは、電飾看板に恐怖を覚えたといった方が正しかったのかもしれません。
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