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拾ったホストの上手な飼い方
Extra edition.1
どうすべきか―――と、高木悟志は最近いつも思っている。
「悟志さん、今日は休み?」
食後のコーヒーをタイミング良く出してきた目の前のこの派手な顔の男。自称ホスト、山梨青弥の事である。
ホスト特有の甘さを含んだ笑みを浮かべる青弥を一瞥し、悟志は無表情で答えた。
「いや、仕事だ。いつもより朝は遅いが、部活がある。」
「な~んだ、仕事か。ナニ部?」
「陸上部。」
深いコーヒーの香りに浸りながら、悟志はカップに口を付けた。いつの間にか好みの味を把握されたらしく、濃い目のコーヒーが口内に広がる。
幸せだ。
悟志が目元を緩めると、青弥も嬉しそうに自分もコーヒーを飲み始めた。青弥は人に尽くして喜ばれる事が好きなのだという。
あまり分からない感覚だが、それにより悟志の食生活は格段に豊かになっているのは確かだ。
「悟志さんも走ったりするの?足、速そうだね。」
「顧問が走る訳ないだろ。偉そうにアレしろ、コレしろ言うだけ。」
ププッ―――と、青弥が吹き出す。
「ウソだ。絶対、そんな風に言わないでしょ。猫かぶりなんだから。悟志さん、寒気がするほど、爽やかにしてんだろうな。」
「おまえ、本当に失礼だな。」
「だって、こんなに無愛想なのに、一歩部屋を出た途端に、爽やかマンになって気持ち悪いんだもん。」
1度だけ外で顔を合わせた事がある。と言ってもマンションのエントランスだが。
他の人に対する時と同じように悟志がにこやかに挨拶をすると、青弥は絶句して、変な顔をしたまま固まっていた。
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