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Extra edition.8
キレイな顔だ―――と、ソファでうたた寝する青弥を眺めて、悟志は思った。生命力を感じさせる目が閉じているせいで、まるで人形のような印象を与えていた。
こうして造形だけ見れば、なるほど悟志の好みである。それなのに、目を開けて話し出した途端に、品性が消滅するのだから不思議なものだ。
―――まだ22か。
若いとは分かっていたが、青弥は大学4年生だった。
先日、都内のホテルから内定をもらった為にホストは辞め、そこのカフェで昼間にバイトを始めた。
在学中はウエイターを経験し、卒業後は正社員になり料理を作ったりもするらしい。
ホストをしていたのは、将来、自分の店を持つための資金稼ぎだったようだ。意外としっかりしている。
てっきり『ちゃらんぽらん』なホストと思っていた。
そんな風に青弥を知る度に、胸が疼くこの気持ちに今もまだ慣れない。
―――キスして起こしたらどんな顔、するだろうな。
頭の悪い学生のようなイタズラを思い付く。
頭の悪い―――と自覚しつつも、全く止めようとも思わないのだから始末が悪い。
悟志がソファに膝を付くと、パチリと青弥の目が開いた。
「なんだ、起きてたのか。」
イタズラが不発に終わり、少しだけガッカリする。悟志が上から退こうとすると、青弥に腕を引かれ阻まれた。
「悟志さんさ―――、オレのこと好きでしょ。」
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