Twitter企画『うちの子版深夜の60分一本勝負』

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Twitter企画『うちの子版深夜の60分一本勝負』

お題「痴話喧嘩」2017.12.16 帰宅した途端に投げられた言葉にムッとなり、高木悟志は手荷物を投げるようにしてソファへ置いた。拍子に、元凶の袋がガサリ―――と、派手な音を立てる。袋の中身は、生徒からのラブレター付きクリスマスプレゼントだ。 「普通さ、断るよね」 恋人の山梨青弥が苛ついたように言葉を重ねる。 確かにそうなのだが、悟志だって好きで持ち帰った訳ではない。無断で机の上に置かれていたのだから、断りようがなかったのだ。 何も聞かず、一方的に責められる謂れはない。 「生徒からラブレターを貰ってくれぐらい何だ。おまえなんて、散々―――」 要らぬ事を言いそうになり、悟志は慌てて口を告ぐんだ。 「は?オレが何?別に何もしてないし」 「してるだろうが」 どこかの回路が断絶する音が聞こえた。 一旦は口を閉じた筈が何故か開いてしまい、勝手に言葉が飛び出す。頭の端ではストップの声が聞こえたが、どうにも衝動に抗えない。 「バイトの子とは食事に行くし、昔の客とも会ってるようだし、ショウの家に平気で泊まるし。散々しておいて、オレが気にしてないとでも?」 万が一にも、青弥が浮気をしているとは思ってないが、いい気はせず微々たる不満が溜まっていたのだ。塵も積もれば山となり、その山を蹴散らしたおかげで、実に清々しい。 「それって―――」 気分が上がったのは一瞬で、青弥が目を見開いて固まっているのを見た途端に、悟志は自分の愚かさを自覚した。 「いや、悪かった。忘れてくれ」 信じられない失態だ。穴があったら入りたい。時間を巻き戻せる道具をくれ。 未来型ロボットの名を呼んでみても、もちろん現れるわけがなく、悟志はじわじわと茹で上がる顔を片腕で隠した。
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