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有沢理香、清泉学園の一年生。
真新しい制服に身をつつみ、ちょっと緊張気味。
でも、それ以上にわくわくしたりしてる。
家から遠いってことで、学生寮へ入ることになった。
なんか、親の目から離れるから自由って感じで、うれしくてしかたない。
入学式の前に寮へ荷物を置きに行ってもう友達を作った。
植原沙枝っていう。
同じ一年生で、寮生。
ルームメイトにはなれなかったけど、一緒にわちゃわちゃできる相手がいるってこと、すごく心強い。
理香の実家は、富士山がよく見える地方の古い家だ。
田舎だし、周囲の人たちはみんな顔見知り。
理香は大学へ行くまでずっとあの土地から出してはもらえないんだろうってあきらめてた。
ところが、その生きたルールブックである祖父が、この学園を受験してみないかって勧めてくれた。
この学園は大学付属だし、スポーツに力を入れていて、全国から優秀な選手を推薦入学させていた。
その方面でもかなり有名だった。
だから、設備の整った大きな学生寮もある。
理香には選択が迫られていた。
小学校からずっと一緒だった面々とすぐ近くにある高校へ行くか、誰も知らないちょっと大きな学校へ行くかだ。
もちろん両親は祖父が決めたことには反対はしない。
だから、理香は人が変わったかのように勉強をしたのだ。
そして、見事に合格した。
今日の入学式には、母と祖父が来てくれていた。
家族と離れて寂しいっていうよりも、これからのことを考えると嬉しくてしょうがない。
式が終わった。
一年生だけで四百人以上いた。
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