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「ダメですね・・・」
ラングレスは非常に困っていた
早々に勇者のパーティーが行方不明となり、戦況はかなりひどいことになっていた
他のWSPの兵や王達は奮闘してはいるが、突如として現れ出た巨大な動く甲冑にほとんどの兵がやられてしまった
WSPの王も残るはラングレスと後もう一人しか残らず、その一人も前線で戦っている
もはや全滅は時間の問題だろう
「・・・負け戦とはわかってましたが
予定がずれにずれてますね・・・
そろそろ、兵士達を増員しますかねぇ
ん?」
ラングレスの目の前に巨大な黒い渦が現れる
そしてそこから勇者のパーティーが飛び出した
「おおっ!やっと帰ってきましたか!
ということは魔王さんも帰りましたね・・・
いやあ、時間はかかりましたが準備は整いました
役者も揃った
後は計画を実行するのみです・・・
まずは彼らを起こさなければ
さぁ、起きてください!
皆さん!しっかりしなさい!」
ラングレスは勇者のパーティーに声をかける
アラン「っ!?
ここは!?俺は何を・・・?
っ!
ラングレス!戦況は!? 」
「非常にまずいですねぇ
あなた方がいなくなり
時間稼ぎ程度で兵を送り込んだつもりが
急に出てきた動く甲冑がひどいことにしてくれてます」
「動く甲冑ってまさか覇邪!?」
フューズは驚きと同時に、額に嫌な汗を浮かべる
その強さと再生能力から来る恐怖は今尚記憶に残っているるのだ
「まだ残っていたのか・・・」
「ここからは最早総力戦ですよ
魔王が帰った今、小細工は通じません」
「恭介が帰ったのか!?」
アランは強い眼差しをラングレスに向ける
「えぇ、帰ってきたようです・・・」
それに、ノーティが弱々しく答える
何もできずにおめおめと過去に戻って来た自分を恥じているのだ
「あなた方には、最前線に出てもらい、覇邪とかいう甲冑の駆除
そして、魔王軍の戦力を削ぐことをお願いします
今回は負け戦です・・・残念ながらね
あんな、数も魔導兵器も効かない化け物相手にしてられませんからね
ですから、戦力を削いだところで、兵を引きます
とにかく、城への侵入経路の確保
そして、暴れてください
その間に我々は撤退の準備を進めましょう」
「わかった・・・」
アランの顔には作戦失敗の苦々しさではなく、目的を見据える強い眼差しがあった
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