計画と引き金

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「さあて恭介! 俺達が納得する説明を頼むぜ・・・! なんで逃しやがったんだぁ? 全滅させるチャンスだっただろうがよぉ!!」 ゲイルはかなりイラついていた 折角のチャンスを棒に振ったためだ 「はぁ・・・これはお前達のためでもある」 「というと?」 「この後、恐らく奴らは勇者達を先頭にして俺らの足止めをしつつ戦力を削りたいと考えるはずだ や勇者達を相手にしながらだと戦況全体を見れば悪くなることは明白だろ 奴等に同じトラップは通じないからな だからと言ってさっきみたいに覇邪を出せば確実に仲間に巻き添えが出る だからお前らにこれを渡す」 恭介はゲイル達に箱を渡す 「マジックキャリーじゃないか 何が入っているんだ?」 グレイルが箱を指でくるくると回しながら質問する 「特殊転移魔法【グループ】が入っている」 『なんじゃ?それは?』 「自分と対象物を一緒に無理矢理転移させられる そんな魔法だ それでお前らには、勇者のパーティの各メンバーと二人っきりで転移して戦ってもらう」 『二人っきりで? わざわざそこまでするのか? 我々にとってもリスクが高いのではないか?』 「確かにな、だが今回は確実に勇者の御一行にバラバラになってもらわなきゃ困る しかしだ、ナノの言う通り相手は仮にも勇者のパーティ、負ける可能性もあるだろう 俺も含めてな・・・だからこそこの作戦が生きてくる」 「意味がわかんねえな・・・」 ゲイルが首をかしげる 「行けばわかるさ・・・とにかくこれ以上言うことはない 納得いかないのなら、今俺がここで拘束し催眠をかけ操り強制させる 今回ばかりはなにがあろうとも失敗は許されない ほんの少しの失敗もな」 『わかった・・・と言うしかなさそうじゃな』 「あぁそうだな・・・他の魔族は?」 グレイルは強い眼差しで恭介を見据える 魔族を重んじるグレイルとしては気になるところだ 「戦力として使えるA部隊のみ戦闘させる 他は絶対に城から出すな 今数が減るのは困るからな」 「わかった、皆に伝えてくる ゲイル、行くぞ」 「おうよ、ついでにティアの様子も見てくるか?」 「いらん 俺が行くから大丈夫だ」 「・・・了解だ」 「ゲイル・・・」 「なんだ?恭介」 「・・・頼んだぜ?」 恭介がゲイルの肩に手を置いた その意味は重い 今まで、何も言わずに利用されることが多かった その恭介が頼っているのだ 「キシシっ、任せろよ!」
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