計画と引き金

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『なぁ恭介』 「なんだ?」 ナノはゲイルとグレイルがいなくなってから話し出す 『私には、お前の考えが読めん 一体この戦争をどう利用する気じゃ?』 「まだ言わん」 『それはなぜじゃ?なぜ言えぬ? 私が裏切ると疑っとるのか!』 ナノがこれ以上ないというほどの激昂を飛ばす 「そうカリカリするなよ お前の気持ち、俺はわかる お前は不安なんだ 今まで全て俺の計画通りに事を進めてきた それは自分で勇者を殺しても、自分が神として敬われるための方法が浮かばなかったから だからこそ、アイナスに遣わされた俺を頼った つまり俺の行動はお前が神になれるかどうかというかなりとって重要なものだ・・・ どうするのか、気になったんだろ? だが、俺にとってもこれはまたとないチャンスなんだ!!」 『チャンス・・・じゃと?』 「そうだ・・・俺はもとの世界ではクズだった クソみたいな生活を送って来た 何をしてもうまくいかない! つかみかけた成功はすんでのところで走り去る! そして消えた成功は、栄光は二度と戻らない! お前にはわからないだろう・・・生まれたときから神だったお前には!」 『恭介・・・』 普段ほとんど感情が見えない恭介のこの昂りは、ナノに衝撃を与えた 「俺みたいな奴らだけじゃない 誰だって・・・てめえみたいに・・・アランのように生きたかったはずだ!」 『どういう・・・ことじゃ?』 ナノは心底驚いた 今まで目の敵にし続けてきた相手のように生きたいというのだから 以前、羨ましいと聞いたことはあった しかし、彼と同じ人生を歩みたいというその発言は簡単に飲み込むことができない 「だってそうだろう! ただ生きているだけで信頼を勝ち取り! ただ生きているだけで成功を掴み! ただ生きているだけで頂点に立つ! まるで全てが決められたもののように・・・! 誰だってそんな風に生きたかったはずだ・・・! 適度の挫折・・・適度の絶望・・・ 適度の悩み・・・適度の事件・・・ そんな障害と戦いながら、成功する人生を送りたかったはずだ!!」
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