正しく勇者を殺すには

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「よし・・・これでいい」 アランとの戦いまで残り4日 ゲイルとグレイルの死は魔族に発表された 当然アランが殺したことにして グレイルの彼女であったネイリーはショックのあまり声が出なくなった 今後も喋ることはできないかもしれない そして今恭介は大砲のような物に黒いバスケットボール大のガラス玉のようなものをセットしていた 『なあ、それなんじゃ?』 「これか?これはお前のための下準備だ」 『わ、私のため?』 ナノは急に自分のためと言われて困惑する 今までそんなことをあらかじめ言われることはなかった 『な、なぜ私の・・・?』 「アランを殺す準備はできてる しかしお前の力を取り戻す準備ができていない もし勇者を殺してもお前に力が戻らなかったら文句いうだろ?」 『それは、まぁ』 「アイナスの奴は、勇者を殺して魔王の恐怖を人々に植え付ければ最早頼れるのは神しかいない だから神に皆祈り、お前は元通りってシナリオを考えたんだろう じゃなきゃしゃらっと殺してこいなんて アバウトな指示になるわけがない」 『そのシナリオではダメなのか?』 「ダメじゃあないんだがな、考えてもみろ 魔王が世界を支配する それを人間が受け入れれば確実に人々は絶望する そうすればこんなになるまで救いの手をさしのべなかった神様を人々が崇拝すると思うか?」 『それは・・・』 「神に祈る奴がいれば、神を恨む奴だったいるさ お前は心から崇拝されないよな・・・ 人と神もギブアンドテイクだ 救いがあるから信仰がある 今のままだと恨まれて終わりなんてこともあるかもしれないだろ?」 『それは困る!』 「わかってる そのための準備だよ」 『なるほど・・・で、これはなんなのじゃ?』 「簡易闇発生装置だ 俺が考案から設計までを行なった自信作」 恭介は、楽しそうにガチャガチャと大砲の中の何かをいじっている 『なんじゃそれは?』 「簡単に言えば、この筒から雲みたいなものが出てきて 惑星全体を覆い、昼を夜みたいにする遮光カーテン張るんだよ」 『え?それだけ?』 「それだけ」
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