正しく勇者を殺すには

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『この部屋じゃ』 「ここか・・・!」 アランは巨大な扉の前に立っていた 『入るぞ』 「あぁ」 ナノが扉を開ける そこは真っ黒な空間 上を見上げると雷雲のようなものが浮いている どんな構造になっているのか想像もできない 「恭介!!どこだ!!」 「うるさいな・・・見ればわかる」 「恭介・・・!」 「待ってたぜ」 恭介が雷雲の中から椅子に座った状態で現れた そのイスは空中で浮いたまま止まった まるで上から吊られているようだ 「さあて、聞かせて貰おうか 5日でお前は何がわかったのかを」 「俺は・・・何もわからなかった 自分に何ができるのかも、何をすべきかもわからなかった なぜお前が太陽を奪ったかも 今さら破壊活動をしたかも その真意は何1つとして何もわからなかった」 「まぁ予想通りだな で、覚悟してきたわけか? 仲間を救うために・・・」 「あぁそうだ 1つだけわかったことがあったからな」 「なんだ?」 「俺をここに呼んだ理由さ お前は俺の陳腐な交渉に付き合うような男じゃない ましてや正々堂々と戦ってくれるはずもない お前は俺をここで一方的にいたぶるつもりだったんだろ? 人質を盾にして」 「ほぅ・・・それで?」 恭介は嘲笑うように、見下している 「俺が犠牲になる・・・! お前の狙いは俺なんだろ! だから、俺の命と引き換えに皆を助けてやってくれ!」 アランは自分の胸に手を当て訴える 「ふぅ・・・そう来たか なるほど、お前はほんとに優しいな 胸を打たれちまったよ」 恭介は前のめりになるように、座ったまま体を倒した 「恭介・・・!」 「お前も撃たれたらどうだ?」 ダァン!! 「ゴハァ!!」 恭介は体を起こすと不意に銃化した王牙でアランの胸に魔力弾を撃ち込んだ 「ぐぅ・・・がはっ」 「俺がお前のそんな綺麗な死に方許すわけねーだろ? 俺がここまでやって来て、そんなつまらないやり方するわけねーだろうがよ!! はぁ・・・5日やってもまだダメか?」
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