正しく勇者を殺すには

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「ふざけるな!! そんなゲームのれない!」 アランはリボルバーを地面に叩きつけた リボルバーはどこも欠けることなく、バウンドして地面をを滑っていく 「俺は、何を捨ててでもお前を殺す覚悟を決めて来たんだ 俺の最後の譲歩を、願いを聞き入れなかったときどんな条件を出されても貴様に斬りかかるってな!!」 アランは腰にさした剣に手をかけた 「選択権がお前にあると思うなよ?」 恭介は氷のような表情でそう呟いた その瞬間、アランを取り囲むように複数のモニターが現れる そこには世界中の街の風景がうつしだされていた その中にはアランの見知った顔の人物もいる アランの大切な場所がいくつも映し出されていた 「これは・・・」 「拒否するなら爆破する 選択権が無いなんて言って悪かった、謝るよ どこがいい?選ばせてやる」 魔王は笑った ニヤッと、意地汚く、はなからこうなることを知っていたんだと、全て手の内なのだと その顔と裏腹に、勇者の顔は青ざめていた もはや魔王などという言葉では生ぬるい 「悪魔め・・・ もし、このゲームで俺が途中で死んだらどうなる 具体的にお前は何をするんだ・・・!」 「人質達をここで起こす 俺に向かって来るようなら殺す おとなしく帰るなら帰すさ」 「それじゃあ・・・」 なんと目に見える未来だろう 確実にゴイル達は恭介に向かう そして、殺されてしまうだろう アランにはどの選択肢を選んでも正解が見えない しかし、彼は選ばなくてはならない (ダメだ、正解を見るどころではない 最もいい選択どころではない! どれも・・・選ばない・・・危険すぎる・・・ だが、世界を救うにはこのゲームしかない・・・! 恭介がおとなしく殺されるかどうかなんかわからない だが、全て爆破させるわけにはいかない! それに俺が死んだら本当におしまいだ・・・ 皆もただただ犠牲にすることになる・・・) 「イメージがわかないよな 今までお前は殺す側だったんだ 笑う側だったんだ 成功する側だったんだ 魔王と戦い、魔物達を殺して、全てを勝ち取って来たんだ いざ仲間が死ぬイメージなんかわかないんだろ? 自分が死ぬイメージなんて湧わかないだろ? で?どうするんだ?」 「やるよ・・・このゲームのった・・・」 アランは勇者として皆を捨ててでも、世界を優先するしかなかった それが、勇者に与えられた変えられない責務なのだ
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