正しく勇者を殺すには

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「さぁ、まずは一発目だ」 ナノが拳銃を拾い上げ、シリンダーを回転させる 『さぁ、撃つが良い』 「はぁ・・・はぁ・・・」 ナノに渡された拳銃 実際に手に持つと、その重みは現実となり重くのしかかる 自分は一度たりとも命を賭けたことなど無いかのようなそんな錯覚にすら陥る、圧倒的なまでの緊張感はアランに突き刺さる 一発目で自分が死ぬ可能性だってある 自分じゃなくても仲間がやられる 「ぐっ・・・!」 パァン! 乾いた音が響く そして銃口からふわっと紙屑が発射された 「セーフー! さぁ誰が最初だ?」 「・・・っ!」 アランは読み上げることができない 紙を拾いあげることすら、ままならない 手が震える この紙を読むだけで想像を絶する何かが起こるのだ 「早く読めよ てめえ自身でさ それとも爆破か?」 「・・・フ、フューズだ」 苦渋の決断、ですらない 決断すらさせてもらえない、圧倒的無力感 「はははははっ・・・! そうか!!フューズか! ははははははははは」 恭介はフューズの方を向く そして 「・・・ガフッ!」 「フューズ!!」 恭介はフューズに向けてナイフになった王牙を投げつけた そして王牙はフューズの喉に深く突き刺さった 「何をするんだ!!」 「ひゃはははははは!! 言っただろ!罰ゲームだよ!」 フューズは、喉からおびただしい量の血を出している 「ア・・・ン・・・」 フューズは意識が戻ったのか消え入るような声でアランの名を呼ぶ 「フューズゥ!!」 「早く死ねよ! てめえはすでに、罰ゲーム!! リタイアなんだよ!!」 恭介はフューズに向けて魔法を放つ 「フューズー!!」 もうもうと上がる黒煙の奥に、丸焦げになりすでに命のともしびすら消し去られたフューズが力なくぶら下がっていた 繋がれていた鎖が不意に消え、地面に落下していく 「やっと死んだか・・・ これだから頑丈なやつは・・・」 「恭介ぇぇ!!」 アランは走りだそうとする 『勝手に近づくなバカが!』 「ごぁっ!!」 ナノはアランを蹴り飛ばす 「まぁいいじゃねーか これで最後なんだ」 恭介はイスから降りると、地面に横たわるフューズの髪を掴みアランの方へ放り投げる 痛々しい音と共にフューズは首の骨をへし折り、頭皮ごと髪を削られ、激しく転がりながらアランの元へ飛んだ
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