正しく勇者を殺すには

12/33

1033人が本棚に入れています
本棚に追加
/366ページ
「まずはどうしてほしい?」 恭介はおもちゃを前にした子供のように、楽しそうにグルグルとアランの周りを歩き回る 「黙れ! お前の思惑通りにいってたまるか!!」 恭介はアランにすれすれまで顔を近づけて言う 「こういのはどうだ?」 恭介は手をノーティに向ける 手が化け物のような形に変わっていく 手だけ第二形態に変化させているのだ 「ふふふふ・・・・」 「何を・・・?っが!?」 鎖が急に重くなる ノーティに重力操作の魔法がかけられているのだ 「はははははは・・・」 「ぐぅ・・・!」 いかにアランといえども耐えられる重さには限界がある 腕、額、脚、ありとあらゆる場所に血管を浮かばせ、歯を食いしばり、なんとか鎖をキープする 『こんなのはどうじゃろうか?』 「なんだ?」 ナノが楽しげに近づく、そして鎖に触れた 『[ヘルニードル]』 「ぐっがぁぁぁぁ!!」 鎖から突如太いトゲのようなものが生え、アランの手を貫いた アランの手からは血が流れ出る 鎖の下にポタポタと血が垂れ、小さな血溜まりを作り始めた 「さすがナノだな 痛々しいことを・・・考えてくれる!」 恭介が、勢いよく鎖を握る すると、そこから鎖が真っ赤になり発熱し始める 「うぎぁぁぁぁぁぁ!!」 アランは痛みと熱さに悶絶する しかし離すことはできない その手につかまされた仲間の命、簡単には捨てられない 「何で離さないんだよ・・・離せばいいじゃないか? お前が苦しむことはないだろ? 自分のために他人を殺せばいいだけじゃないか?ん?」 恭介はアランの耳元でささやくように語りかける まさに、悪魔の囁き 苦しみからの解放を促す、甘美な誘惑 「黙れ・・・!!」
/366ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1033人が本棚に入れています
本棚に追加