正しく勇者を殺すには

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「あぁ・・・・っ!!」 「おおぅ・・・凄いねぇ」 アランはノーティが肉塊になる瞬間を瞬きもせずに見ていた 最早言葉にならない、言葉になどできない 恭介はそれを見て満足そうに微笑む それどころか、しゃがみアランと肩を組んだ 「離したな・・・ほらな? 楽になっただろ?」 「そんなこと・・・ない!!」 アランは動く上半身で殴りかかるがひらりとかわされてしまう 「そんなに我慢しなくてもいいのになぁ・・・ ナノ、やれ」 『うむ、[キュアオール ]』 ナノが唱えるとアランの傷が消えていく 「なぜ・・・」 アランは傷が治ってもなお、立ち上がることができない 体の傷が塞がろうとも心の傷はふさがらない 「決まってるだろ・・・次だよ 引きな・・・」 恭介は銃をアランに投げ渡す 「あぁ・・・ぐぅ・・・」 「何もためらうことはないだろ? お前の持つ運で仲間を皆殺しにすればいいだけ お前は助かり俺を殺せる さぁ頑張れよ」 アランには引くしか選択肢がない この部屋に入れられた瞬間逃げないと誓った 何があろうと自分を見失わないと心に決めた なのに、心はすでに逃げ出したい気持ちでいっぱいだ 人質を救いたい、なのに引き金を引けば人質が死ぬ 人質が死ななくても自分が死に、全てが終わる 何もしなければ国民が死ぬ めまぐるしく回るアランの思考 しかし、アランはこのような異常な状況に慣れていない 考えは巡るが、答えが出ない (早く・・・終わってくれ・・・ この悪夢よ・・・!) パァン!
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