正しく勇者を殺すには

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「あと何人だっけ?」 恭介は人質の方を見る 残りはゴイル、ライル、ティアの三人である 「飽きてきたな・・・ 意外と楽しいことは長く続かないよな 半分死んだし・・・そろそろゲーム変えてみる?」 「なんだと・・・」 アランの精神はもう崩壊寸前だ これ以上、どうしようというのか 「よっと!」 恭介は何かを3つ投げつけた それは人質の顔に寸分の狂いもなく張り付いている 五角形の無機質何かの機械のようだ 「はい!注目! あれはな・・・爆弾だ」 「何・・・!?」 「ついでにお前にも着けまーす」 恭介は一瞬でアランとの間合いを詰めると、ボディーブローを叩き込んだ 「ごはっ!?」 腹には、人質達と同じ五角形の爆弾が貼り付けられた 引っ張っても取れはしない 「ほらよ」 恭介は先程までとは違う銃を手渡した 「その銃は、8発装填型のリボルバーだ シリンダーを回して好きな弾で人質に向けて撃て 2分の1の確率で誰かの頭が吹き飛ぶぞ お前の腹も同様にな」 「なんだよ・・・それ・・・」 「ほら撃てよ・・・はやくっ!!」 「うぅ・・・」 アランは弱々しく銃をゴイル達に向ける 「あぁぁぁぁぁ!!」 先程とは違い、耳が割れそうになるほどのけたたましい音がする しかし何も起こらない 「いい引きだな・・・ ハズレだ いや、お前的には当たりなのかな?」 「はぁぁぁぁぁ・・・・!」 アランは大きく呼吸をする もう仲間を失いたくはない 度重なる残虐な殺人現場を見たアランは、死の恐怖にかなり敏感になっていた 「あ、忘れてたけどさぁ その外れ弾三回撃っちゃうと、君の故郷が吹き飛ぶから ははははははははっ!!」 「あ、あぇ・・・あぁ・・・」 アランは最早感情と言葉が着いてこない 衝撃に対して、気持ちと言葉が追いつかない 「じゃあ・・・次撃とうか」 アランは歯をガチガチ言わせる もう撃ちたくないという気持ちが最高潮に達する 今すぐにでも逃げ出したい 駆け出したい 全て投げ出してしまいたい アランの髪がハラハラと抜け始めていた
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