正しく勇者を殺すには

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『奴は死ぬまで放っておくのか?』 「いや・・・今殺そう 奴は充分苦しんだろう 俺も、満足だ それに、自然に殺すのも魅力的だが奴は俺の手で直接殺したい」 『そうか・・・』 「はぁぁぁぁ!!」 恭介が手刀をつくり地面に沿うように下から上に振り上げる すると波状の赤い魔力がアランに向かって進んでいく 「さようなら、アラン」 波はアランの頭部から股間にかけてをまっすぐ通過し アランを縦に真っ二つに切り裂いた 『終わったの・・・』 ナノはその場を見回し呟いた 残虐な殺しかたをされた勇者とその仲間たち 360度見渡せば、どこもかしこも血で汚れている 「まだ終わりじゃない・・・ 俺たちの最後の目的 お前の力を取り戻す・・・ それで全て終わりだ」 不思議な感覚だった 自分のことを最優先してきた恭介がナノのために力を尽くそうとしてくれている 最初からそれが目的ではあった しかし、いざその瞬間となると体が浮いてしまうような感覚が体全体を覆っていた 『・・・そうじゃな どうするんじゃ?』 ナノは強く質問する 何が来ても自分は大丈夫だと覚悟を決めるために 「今から俺は最終形態進化をする さらなる強化だ だが、そのパワーは強大 いかに俺といえど、理性を保つのは難しいだろう そうすれば魔族、人間、敵味方の区別なく襲いかかることは明白だ そしたらお前は頃合いを見て俺を止めにこい お前は自分は魔族の味方であり人間の味方であると信じ込ませる 魔族も人間もお前を頼らざるをえなくなる そのためにゲイル達を殺したんだ」 『恭介・・・』 ナノは特別扱いをされている気分になり嬉しくなる 恭介にここまでしてもらえるのが奇跡的だからだ 「そして俺と闘い・・・殺せ」
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