正しく勇者を殺すには

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『殺せ・・・じゃと!?』 ナノは驚く まさか殺してくれと言われるとは思っていなかった それは、自分の覚悟の範囲外の話だ 「ああ、そうだ」 『なぜ!?何のために!』 「力を取り戻すためだ 今この状態で魔族や人間に神を信じてもらうのはまぁ無理だろう ならばナノを信じてもらえばいい 神ではなく、一人のナノという女を信じてもらえばいい 意味合いは同じだ だからお前には俺を殺して英雄になってもらう そうすれば、お前の力は一気に元に戻るはずだ」 恭介の言うことは理にかなっている かなってはいるが 『そんな・・・私にはできん』 「最後にいい奴になりたくはないさ つべこべ言わずにやってもらうぞ 俺の仕事はもう終わったんだ 勇者いてこその魔王だろうがよ さて、戦いの最中も普通に話すわけにはいかない それに、これが仕組まれた八百長だと知られたら終わりだ 故に、俺は自分の理性を失うほどのパワーを無理やり抑えながら暴れる お前は仮にも神様だ きっと俺くらい殺せるだろう? ナノ・・・これが最後のお喋りだ いいな?」 『・・・わかった』 恭介は服のポケットからグミを取り出す 「これで食い納めか・・・ まあいいか、人生で食うぶんくらいは食ったろ」 『最後まで・・・グミなのか?』 「あぁ、それが俺だ そうだ、これを渡す」 『これはなんじゃ?』 恭介はナノに封筒を渡す 「俺を殺したら開けるんだ さぁ行くぜ?」 『もうなのか? これで、これで最後なんじゃろう!?』 「あぁ、だからこそさ・・・ はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
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