正しく勇者を殺すには

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城の外では邪魔にならないようにと魔族達が待機していた 「長いな・・・」 「負けちまった・・・ってことはないよな・・・?」 「まさか・・・あの魔王様が負けるわけねえだろ?」 「で、でもよ、ゲイルもグレイルもやられたんだぜ?」 辺りは静かすぎる城内の様子にざわつき始めていた ドガァァァァァァァァァン!! 「な、なんだ!?」 城の上のほうで大きな音がする 「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「なんだありゃあああ!!?」 城の天井を突き破り、恭介が変貌を遂げたおそろしい顔をさらしていた 「ば、化けもんだ!!」 「うぐるぁぁぁぁぁ!!」 ドガガガガガガガ!! 恭介が身体を回転させるだけで、その太い尻尾が、脚が、体が城を粉々に砕いていく 「がぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」 恭介は魔族達の方を向き大きな口を開ける その口には魔力が溜まっていく 「魔法を放つ気だ!! にげろぉぉぉぉぉぉ!!」 そんなことは後の祭り 恭介は強力な魔光線を吐き出した 「ああああああああ!! もう、終わりだあぁぁぁぁぁ!! ・・・・あれ?」 『なんとか・・・間に合ったか・・・』 恭介の魔法はナノによって相殺された 「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 『ぐっ!?』 恭介が放った強烈な咆哮によりナノは怯む 辺り一帯にはビリビリと衝撃が伝わる 『皆!!逃げい!! 今ここで死ぬことはない!! 恭介がくれた今じゃ!! 逃げい!!』 「ナノさん!!こいつは一体!?」 魔族の1人が、ナノに向かって駆け寄ってくる 『こいつは恭介じゃ!!』 「えぇ!?」 『アランは死んだ!! じゃが!そのために使った力が暴走しておるのじゃ!! こやつは恭介であって、恭介でない!! 今は逃げるんじゃ!! 必ず私が、奴を止める!!』 「わ、わかりました!! おい、みんな逃げるぞ!!」 魔族達が一斉に逃げ出す 恭介は血走った目でその様子を見つめる 「つ・・・ぎ・・・だ・・・ ごるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 恭介の咆哮が残った城や回りの草木を吹き飛ばす あっという間に、魔王城は更地になってしまった そして恭介はそのまま走り出した 『待て!!恭介!!』 《どこへ行く気じゃ!!》
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