正しく勇者を殺すには

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恭介が走り出してからどのくらいの時間が経っただろうか一週間は超えているだろうか 恭介の暴挙により世界のほぼ全てのエリアが打撃をうけた ナノの奮闘により被害は最小限に抑えてはいるが それでも人間たちにとっては壊滅的な被害が世界中で巻き起こっていた 未来をナノに託した魔族、精霊、人間は恭介の魔の手から逃れるため一ヶ所に避難し結託していた そして恭介はついに、ある場所でその足を止めた 『やはり・・・最後はここか?』 「・・・」 ビギンズシティ 恭介が最後に選んだ場所はナノと恭介の出会いの場 すでに爆破されて無くなってしまったインフォメーションターミナル跡地 『もう皆逃げてしもうた ここには私達しかおらん・・・ お主、本気で攻撃したじゃろ? やはりお主にしては優しすぎると思っとったよ』 ナノはくすっと笑う 恭介もまた口の端をつり上がらせる 『知っておったわ お主が理性を失うことなどないことくらい そんな諸刃の剣のような力を手に入れるわけがないからな 最後の私への意地悪か?それとも、本気にさせるための演出か?恭介』 「・・・・」 『聞こえるか? お主以外のこの世界の知的生命体が私に声援を送りよる 力が集まってきておるのじゃ 神だったときとは質が違うの 私がナノだからこそ、集まる力か・・・ どちらにせよ、心地の良い良質な力じゃ・・・』 「・・・・」 恭介は、黙ってナノの言葉に耳を傾けている 今までの大暴れが嘘のように 『私が求めた力・・・ 身体に溢れよる・・・ 満ち満ちておる・・・ 漲っておる・・・ 気持ちが高ぶる・・・ 高揚する・・・ どんな言葉を使っても、どんなに言葉を並べても 表せん気持ちで溢れておる』
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