失くしたもの

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『はぁ・・・はぁ・・・』 ナノが来た場所は魔王城の跡地 恭介が自ら破壊した城跡である 『ここじゃ・・・』 ナノは地面に直接つけられた地下へ通じる扉を瓦礫の山から見つけだした 何度となく入れて欲しいと頼んでも入ることは叶わなかった開かずの間 恭介のみ入れる秘密の場所 『ここ以外考えられん・・・ ぬっ・・・!開いた・・・!』 ナノは鉄製の扉を開く なかは暗く奥が全く見えないが地下に続く階段がある 『一体何があるんじゃ・・・』 ナノはゆっくりと注意深く足を踏み出した 《この部屋は恭弥が最も大事にしてた部屋・・・ 何があるかわかりはするが、わからん・・・》 カツカツカツカツカツ 規則的に響く足音 自らが発する足音は自らに緊張が走らせる 『[ライト]!』 ナノが唱えると回りが明るくなる 狭い廊下と階段以外変わったものはない 『ここじゃな・・・』 ナノは未知の恐怖を抱きながら、黒い大きな扉の前に立っていた グミ格納庫 扉の上にはそう書いてある この部屋は恭介がグミを保管していた部屋なのだ 『全く・・・人一人の全てがグミとは・・・ 奴らしいと言えばそうかもしれん しかし、グミ以外に一体何があるというのか・・・』 ナノは扉を押し開く 『なんじゃ?あれは?』 おびただしい数のグミが山のように四方八方に積まれている ナノはその中央にある白い球が浮いているのを見つけた バレーボール程度のその球は異様で不気味な雰囲気を漂わせる 『一体なんじゃ・・・これは?』 手にとってみる とても軽い 中身があるのかないのかもわからないがとにかく軽い 『さっぱりじゃ・・・んぐっ!?』 ナノは球を落としかける 球がナノに何かの波動を送ってきた それはナノにあるイメージを与える 『力が・・・欲しいのか・・・? 恭介・・・なるほどの・・・ これが何かをしてくれるのか? だから今なんじゃな? 大きなことをするために 私の力が増えたとき、この球に魔力を腹一杯食わせろということじゃな? ふふふ・・・粋な真似を・・・ もはや疑いはせぬ、それに応えよう!! はぁぁぁぁぁぁぁ!!』 ナノは魔力を送り出した
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