失くしたもの

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『・・・え・・・え・・え?』 アイナスは目を見開く 眼前の景色を受け入れることができない 理解できない 何も考えることができない 情報処理が追いつかない どうしてこうなったのかわからない 今自分が何をしているのかわからない 『これ・・・は・・・?』 ナノ達のいた世界を映していた地球儀が爆発した こっぱみじんどころではない 爆炎が全てを焼き尽くし 文字どおり塵も残らない そこには何もなくなってしまった 海が、大地が、草が、命が、全て焼き尽くされてしまった 文字通りの完全消滅である 『な・・・・・』 パチ・・・パチ・・・パチ・・パチ・・パチ・パチ・パチパチパチパチパチパチ 『っ!?』 後ろから不意に聞こえる拍手 アイナスは我に帰り振り返る そこにいたのは当然こいつだ 不適な笑みを浮かべゆっくりと近づいてくる 「・・・ははは 最高のフィナーレだぜ」 『一体・・・これはどういうこと・・・?』 「これ?一体どれだい?」 恭介は、したり顔でとぼけてみせる 『とぼけないで・・・ 答えなさい・・・ 黒島・・・恭介ぇぇえ!!』 アイナスは怒りに満ち溢れた表情で恭介を睨み付ける 今までのアイナスからは想像もできないような、強烈な表情だ 「言わずともわかってるだろう? 今何が起きたのかくらいさ」 『これは・・・あなたの仕業・・・!?』 「あぁ、そうだ」 『最初から・・・これがあなたの目的・・・!?』 「察しがいいねぇ」 『何のために!』 「くくく・・・はははははははははははははは!!! いいねぇ!!それが見たかったんだよ!! ナノが力を取り戻してから いつ見れるかいつ見れるか!! 楽しみにしてたんだぁ・・・ 笑いをこらえんのが大変だったぜ!!」 『一体何を言ってるの・・・!?』 「ふふふ・・・俺が見たかったのは お前のその顔さ・・・」 『顔・・・?』 「その・・・怒り?、悲しみ?、悔しさ?、辛さ? なんとも言いがたい負の感情にまみれたその表情が 見たくて見たくてたまらなかったぁ・・・」 『何よ・・・それ・・・?』 「はははは・・・ じゃあ説明しようか・・・ 最後の・・・説明だ・・・」
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