失くしたもの

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『お前の言う通りだ・・・ あの世界は・・・私の作った世界の中でも指折りで上手くできた世界だった 魔法という付属品がありながら あなたの世界のようにルール、つまり規律を作りまとまるところまで知的生命体は進化した! 戦争、人種差別、策略、裏切り・・・本来知識ある者が辿るべき道を辿っていった完成形の世界だった!! それを、よくも・・・よくも!!』 話を聞き終わる頃には、アイナスの中で怒りの炎は最高潮に達していた 怒りを露にするアイナスを囲むように高密度で強烈なエネルギーが現れる 「素晴らしい・・・ 思い出してくれたかい? 遠い昔に置き去ったその感情・・・ 失ったもの・・・ 純粋な殺意を・・・ さぁ、噛み殺せ王牙・・・」 『神の怒り・・・ その体に刻み込み・・・死んでいけ!! はぁぁぁぁぁぁ!! [天罰]!!』 アイナスが両手をつきだすと その手から雷が放たれた 「いや、まだ死ねないな・・・ もう1つだけプレゼントしなくちゃな!! ははははははは!!」 恭介は右手に握った王牙で雷を弾きながら逃げ回る 『逃がすか!! どのみち逃げ場などない!!』 アイナスが手を振り上げる すると恭介の足下から巨大な火柱が上がる 「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」 恭弥はもろに火柱につかまった 「がはっ!! はは・・・はははは・・・!」 『笑うな・・・!笑うなぁぁぁぁ!!』 「うぎゃああああ!!」 まるで雨のように降り注ぐ雷 恭介は口から黒い煙を吐き出しながらその場に膝をついた 『終わりだ・・・お前は所詮無力で哀れなただの人間だ・・・』 「ふん・・・何を・・・今更・・・」 恭介は王牙を強く握り立ち上がる しかし、足はがたがたとふるえている 『まだ歯向かうというの? そこまでされながらここまでの力の差を見せられながら まだ何か私を下すほどの策があるというの!』 アイナスは強く恭介を睨みつけた 「はははは・・・ ねえよ・・・そんなもんは なぁ、王牙・・・」 ズドン!! 『えっ・・・!?』 「ぐふっ・・・」 恭介は王牙を自らの腹部に深く突き刺した 口から赤い液体がこぼれる
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