写真たてに思い出を

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「なぁ、これ」 ご飯も食べ終わった頃竜くんがふと包装された何かを渡してくる。 「ん?」 「開けてみて」 少し硬いそれを包み紙を開いてみる。 「写真たて?」 竜くんから手渡されたそれは、12枚の写真を入れられる写真たてになっていた。 「今日6月12日じゃん」 「うん。また何かの日?」 こう日付をいってくるってことはきっとなにかのひなんだ。 「恋人の日なんだって」 恋人の日…。 その響きになんだか胸が熱くなる。 「でも、なんで写真たて?」 「ブラジルでさ、本当は写真たてに写真を入れて交換し合う日なんだって」 「交換?」 「でも、さすがにさ、俺が自分の写真をこれに入れるのは恥ずかしいから」 照れながら話す。 たしかに竜くんが自分の写真をここに入れて渡してくるのは想像つかないしあたしも自分の写真なんて渡したくない。 ブラジル人だからできることなのだろうか。 日本人には難しいな。
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