写真たてに思い出を

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「とりあえず入ろう」 竜くんが運転席から降りたのであたしも助手席のドアを開ける。 「ほら」 運転席から助手席側に来ていた竜くんに手を差し出される。 「…竜くん」 竜くんの手を握りしめたあたしに竜くんは満足そうな笑顔をする。 この笑顔は会社では本当に見れないものだから。 あたしだけの時間って思えて嬉しくなる。 あたしだけが知ってる竜くんだから、誰にも教えたくい。 ほかの人にはこんなふうに笑いかけてほしくない。 「予約してた須坂です」 入口で店員さんにそう告げる。 「お待ちしておりました。こちらにどうぞ」 店員さんの案内で店の中を歩く。 「すごいかわいい」 「だろ?茜好きだろうなって雑誌で見て思ったんだ」 「ふふ。雑誌とか見てくれたんだ。ありがとう」 こういうところが載ってる雑誌を見るようなタイプではないからまた嬉しさがこみ上げる。 人のことを信じられない竜くんだけど、あたしのことを喜ばせようと努力をしてくれてるからまぁいいかとなる。
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