写真たてに思い出を

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「そんなの悲しすぎる。竜くんと付き合うなんて無理だから下ろしくてください」 「ここは危ないし、ごめん。おちついて?」 片方の手であたしの頭を撫でる。 「落ち着いてなんか…」 いられるわけがない。 彼氏に〝信じられない〟と宣言をされて 〝はい、そうですか〟なんて理解を示せるほど、あたしは大人じゃない。 まぁ、理解を示せる人が大人なのかどうかもわからないけど。 うまくできる人ならこんなふうに声を荒らげることもしないでいられるのだろうか。 あたしは好きだから。 好きだからこそ信じたいし、信じられたいと思うのは間違っているのだろうか。 「まず、入ろ?」 目的地のレストランに到着したみたいで竜くんがシートベルトを外す。 「いやだ」 子供かもしれない。 でも、いまこの気持ちでこのレストランに入るなんてあたしにはできない。 なにも解決してないのに見逃すことなんかできない。
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