忘れ物をしてよかった

2/2
前へ
/2ページ
次へ
「はぁ...」 夏の暑い日差しの中で、俺、高橋勇樹は、ため息をつきながら、忘れ物を取りに学校へ戻ってきていた。 明日から、俺の好きな人、石井麻衣がいなくなる。 麻衣が転校するのだ。 俺は、この日に告白しようと思っていたのに、勇気を出せず、告白できなかった。 それを、俺はひどく後悔していた。 海に飛び込んで、溺れ死んでしまいたい気分だ。 教室に入り、忘れ物を取り出した後、俺は教室を出ようとした。 その時、俺はゴミ箱に躓き、盛大に転んでしまった。 「痛っ!しかもゴミかかったし...きたねえ...」 俺は、急いでゴミを片付けた。 ゴミを片付けていると、ピンク色の、『勇樹くんへ』と書かれた手紙を見つけた。 「なんだこれ?」 俺は、ゴミを片付けてから、その手紙を読んでみた。 「...え?」 それは、麻衣からの俺に対する告白の手紙だった。 ...まさか、両想いだったなんて。 手紙の最後に、電話番号が書いてあったので、俺はすぐに家に帰り、電話をかけた。 今では、俺たちは遠距離恋愛の関係にある。 そして、今でも思い続けていること、それは。 「忘れ物をして本当によかった。」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加