第1章 出会いは一期一会

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(悔しい!)  数日前迄10万だったのが、今はガラスケースに入れられ、30万と表記されているのだ。 栞は足元を見られたと怒りが沸点に達していた。 家に帰るとその怒りを兄にぶちまけていた。 「ね!酷い話でしょ!?」 「うーん。でも、よくある話じゃないかな?ネットオークションなら、数分で10倍20倍になるからね?」 「そうだけど…」 「栞にとってその本の価値が、どのくらいかって事じゃないかな?」 (私にとっての価値…)  栞にとってあの本は祖母との大切な思い出であり、本好きな栞の原点でもある。 何物にも変えれない価値があるのだ。 「お兄様有り難う!」  栞は兄に礼を言うと自室の机の引き出しから預金通知長と判を出し鞄にいれた。
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