プロローグ

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 なにも予定の無くなった栞。いや、初めから予定などなかった栞だが、図書館に居られないとなると、栞にとって大学は居場所のない場なのだ。 (仕方ないわ…本屋にでも寄って帰ろう…)  栞は大学側のバス停からバスに乗る事にした。 家に帰るには電車の方が早いのだが、今日は本屋へ寄るためバスにしたのだ。  バスの車窓から見る景色はゆっくり流れ、電車と違って街の中がよく見える。 制服姿の女子高生達の楽しそうな笑い声。 カフェで楽しそうに話す女子大生。 そんな姿を見て、多少なりも羨ましく思う栞だった。  (同じ感性の人と、お茶を飲み本の話が出来たら…)  栞はいつも家と大学を往復するだけの生活。 大人になって、人(他人)と向き合えないのはどうかと、バイトをしようと思った事もあるが、人見知りの栞には、面接へ行く時点で無理だったのだ。  本屋のある商店街が近づき、栞は降車ボタンを押す。
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