第1章 出会いは一期一会

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 本を開きパラパラと中を見ると、しおりが挟んであった。 それは和紙に押し花が施してあり、祖母が旅先で紙漉きをして作ったしおりだった。少し傷んでしまっているが、祖母が亡くなってから、幾人かの手に渡ったであろうこの本に、祖母の作ったしおりまでが残っているのは奇跡だろう。  栞はこの本がどうしても欲しいと思い、本をよく見たが値段は記されていなかった。 本の山を崩さないように気をつけながら、なんとか背伸びをしもう1冊の方を手に取ってみても値段の表記は無かった。 栞は自分の財布の中を思いだし、大丈夫と頷き店奥へと向かった。  店員は、先ほど栞に声を掛けた男以外誰も居ないようで、客も栞以外は居ない。  レジカウンターの上にも本が山積みではあるが、どうにか古いレジスターの回りだけは、物を置かないようにしている様だ。  店員の男は本に集中している様で、栞が側に来ても手元の本へ視線を落としたままだった。栞はうつ向いたまま、店員の男の眼下に本を差し出した。 「っ…なに?…………買うの?」  男の問いに、栞は黙ってただ頷いた。 「あのさ…いくらなんでも無言は無いでしょ?喋れない訳でもないんだから?」 (ん?)
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