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彼の言うとおり、栞は喋れない訳じゃない。両親や兄となら普通に喋れる。
でも…他人と話せる様になる迄には時間が掛かってしまう。
「まぁいい。その本は10万ね?」
「…っ⁉︎」
(10万って…そんなにする?)
「その本は状態もいいからね」
(でも…欲しい。
これは、お祖母様の本で…わたしの本だもん!)
「…ぁ……ぁ…あした…」
「あー持ち合わせ無いの?それは残念だったね?」
男はそう言うと栞から本を奪い取り、近くのホコリの積もった本の山に積むと、再び本を読み始めた。
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