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これで大丈夫です、とレジは丸山さんに託し、瓢箪(ひょうたん)スタイルの野崎くんに着いていく。 「こ、こんな感じで? いいですかね?」 額の汗を拭う野崎くんが見せてきたのはフルーツが並ぶエリア。 お客さんが取ってバラバラになっているのを綺麗に揃えといて、とお願いしたのは確か30分前だ。 「あー、えっとね」 長方形のお皿に乗ったイチゴ。まるで瓦屋根のように一ミリのズレもなく整列している。 凄く褒めてあげたいけど、その他のフルーツはグチャグチャのまま。 「ここまで綺麗にしなくていいからさ、他のも全体的に整える感じでお願い。 あと、もう少し早くしないと他の」 話している途中で、すいませーん、と重低音の声が飛んでき、はーい、と返事をするとパフェを持った男性客が困った顔をしていた。 「チョコソースでないんスけどー」 「あ、申し訳ありません、すぐに!」 キッチンの方へと踵を返すと、小さな男の子が目の前に飛び出してき、ぶつかりそうになる。 「トイレー! トイレどこー?」 「あートイレはそこの角を曲がった所」 屈んで男の子の視線に合わせて説明したけど、分からなーい! とブンブン首を振られる。 「白石さーん! またレジ壊れたぁ!」 遠くから丸山さんの声、 「玲センパイ、他のフルーツも並べた方がいいですか?」 野崎くんの質問に、 「水も出ないっスよー」 重低音の男性客、 「トイレー! どこー!」 おもらし寸前の男の子。 あーーーー!! もぉーーーー!! まだバイト始まって5分も立ってないのにーー!!
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