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「いやいやそんな急に言わないでよ。
それは無理だよ、絶対無理」
扇ぐ手を止め、急に慌てだす丸山に、何がですか? 無表情で聞き返す。
「ハハハ、アハハハ」
何で笑ってんの? ついに壊れたか、この女。
私が怒っている事には多分、薄々感づいてるとは思う、だから大きく笑って空気を和ませようとしているんだ。
勝手に笑っていればいいと、私は恨みを込めた燃えるような視線で睨む。
「いや、契約ってのがあるからね?
もし辞めるんだったら、違約金とか払わなきゃいけないよ?
半年置きに契約は更新されていくから、今急に辞めたら、うーんそうだなー、軽く見積もっても、5万円。
それに加えて制服代10万円、合計15万、払えるの?」
こんな話になると、こうやって少し真面目な口調で脅迫じみた事を言ってくる。
「まぁ15万くらい安いしね、別に辞めるって言うんならオーナーに言っててあげるけど?」
言いたい事だけ言って満足そうな顔をし、再び顔を扇ぎ始める。
そんな契約ある筈ないし、15万なんていう大金も払える訳がない。
「いや、そんな契約私知りません。
このままじゃ学校に通えなくなるし、アルバイトしてる場合じゃないんです」
「フッ、分かるけど決まりだからねぇ。
私にはどうすることも出来ないよ、幹部じゃないし」
それだけ言って、立ち尽くす私の事は無視してパソコン作業を始めてしまった。
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