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信じられないくらい優しいシンに声が出せず、ううん、と首を横に振った。 外からだと、肩から下だけが見えてるんだろうか? あり得ない状態だけど、今はこれがいい。 「じゃあ何してるの?」 近距離だし、籠った空間だからシンの声がハッキリと聞こえる。 私は声を震わせながら、絞り出すように、バイトの帰り、と言った。 「ふーん。授業は来ないのにバイトか」 真っすぐ目を見つめながら、独り言、感想のように呟いたシンから私は瞼を下ろして視線を外す。 授業って....、どうせ何もしないクセに。 「......」    私と同じ姿勢で、片手は日傘を持ちながら屈んでいるシンの足が見える。 今日も白いサンダル......、そんなどうでもいい事に気付き、気まずさから指と指をモジモジ繋いでいると、突然、その手を止めるようにギュっと握られた。 「なっ」 無意識に声を零しながら目を上げると、シンは何も言わないままこっちを見つめている。 心の中を覗かれているような、本当に覗かれているような、少し切なげでどこか優しさを含んだその瞳。 道路の熱じゃない、顔の温度がグングン上昇していくのが分かる。 至近距離で、シンの瞳に自分の姿が映っているのを見つけ、ゴクリと生唾を飲み込んだ時ーー、 「疲れたね」 と落ち着いた声音で、そう言われた。
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