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「いらっしゃいま、あ、お客様!
って玲さん! ちょっとあの人」
「わわ、分かってる、分かってるからお仕事続けて」
お店に入るなり、慌てる店員を無視してキッチンへと入っていくシン。
もちろん、皆パニックになり、手は止まって目は点になっている。
私はシンが燃やした火を消すように皆に謝りながら後ろを追いかけていく。
ただでさえ不気味なシンだ、絶対に不審者だと思われている。
「け、警察は呼ばなくていいから!
私の知り合い! 大丈夫だから!」
キッチンの中心で皆に叫んでからシンの歩いていった方を見ると、あれいない。
どこ、どこ、どこ!
360度、右、左に首を捻って見回す、と高校生バイトの一人が、ツンツン、奥のドアを指差している。
ありがと、と口パクでお礼を言い、華麗に皆を避けながら薄く開いたままのドアを抜けると、奥の事務所から、
「何! あなた!」
と丸山の声が聞こえてきた。
嘘でしょ、何考えてんのよもぉ。
焦る気持ちと少し走って痛む肺を気にしながら、後ろのドアを閉め、私も中に入った。
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