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何もかもがシャットアウトされるような大きな音に私までビクリ、と背筋が伸びる。
ガサツに積まれていた大量のファイルはバランスを崩し、綺麗にスルスル......、とデスクから雪崩落ち、振動で揺れた拍子にスカスカのペン立てもポテ、と横に倒れた。
頬をローラーに挟んだまま止まっていた丸山は、すぐに動きを再開し、なによ、と若干臆し気味で聞き返す。
「......俺の教え子、好き勝手にこき使ってんじゃねぇ。
明日から当分休むから、......分かったか?」
両手をデスクについたまま睨み殺すような視線で丸山に言葉をぶつける。
声が小さいから余計、言葉に影が出来て、不気味な怨念を浴びせているようにも見える。
だけど、丸山も引いてはいない。体をのけ反るように少し傾けていた椅子の背中を元に戻し、強気な表情でグッとシンに顔を近付ける。
「教授かなんだか知らないけど、あなたにこの件を言われる筋合いはない。
今すぐ出てかないと」
火花を飛び散らせていた熱い視線を外し、ゆっくりと固定電話に手を伸ばす丸山、するとまたシンが、
バアアアアン!!
早くも本日2度目の両手叩き。
今度はマウスがクルっとひっくり返り、電卓は少しだけ角度を変えて着地した。
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