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午後20時。 ベッド横のローテーブルに置いたスマホが鳴り、深い眠りから目が覚めた。 「んん.....、誰」 冷房を点けっぱなしにしていたので少し肌寒い。 足元で丸くなっている布団を肩まで被り、リモコンで冷房を切ってからスマホを取る。 真っ暗な部屋で顔を照らす白い光に目を細め、かかってきた番号を見るとお店からだった。 また丸山の文句か、と思って無視しようとしたけど、かなり粘られたので渋々耳に当てた。 「ん、はい、もしもし」 『もしもし? あ、玲ちゃん? 寝てた?』 出来る限り寝起き感を減らそうとしたけど、うつ伏せで声が苦しくなってしまい、無理だった。 私の事を玲ちゃんと呼ぶその女性は丸山ではなく、んー、誰だ? 「あ、いえ、まぁ、はい」 膜がかかったような脳をフル回転させながら声の主を考える。 上品な女性の声は何だか楽しそうで顔を見なくても笑っているのが分かる。 『久しぶりね、覚えてる? 中尾です』 店長!?  半開きだった目が一瞬で冴え、ガサっと体を起こしてスマホを持ち直す。 長い間連絡の取れていなかった元店長からの電話、懐かしい声に眠気は吹っ飛んだ。 「お久しぶりです! え、え、どうしたんですか突然。 そ、それより、お元気ですか?」 『フフ、元気元気。声が大きいなぁ。 ハハハハ、ごめんね、急に。実はお店の事なんだけど』
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