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翌朝、月曜日。今日は祝日なので学校は休み。 朝から杏奈にこれまでの事を全部話した。 『え、じゃあ今は有休ってこと?』 「そう! 本当助かった」 昨夜の電話は、まさに神のご加護だった。 私の事を前々から心配してくれていたパートやアルバイトの人達がコッソリ本社に連絡をしていたらしい。 実態調査の結果、丸山の、横暴かつバカで最低で卑怯でオマケに情けない勤務状態が明らかになり、異動が決まった。 9月の最初にそれを通知する“要確認”と書かれた封筒が送られていたにも関わらず、丸山はそれを確認しておらず、今週末にはもうお店を去るらしい。 店長は違うお店の人が担当し、不足している人数もヘルプを呼んで何とかすると中尾さんが約束してくれた。 『いい奴だね、中尾の姉さん』 「奴って。まぁいい人だけど。 でも驚いたなぁ、いつの間にか会社の幹部になってただなんて」 中尾さんは本社の幹部に昇進しており、全ての店の管理を任されているそうだ。 これまでの私の労働状態を案じ、何度も謝ってきて最後は特別に2週間の有給休暇にしてくれた。 幹部の職権乱用よ、と誇らしく言われたのでありがたく頂戴した。 2週間後も自分の事を優先して無理なくバイトを続けてね、と感謝してもしきれない言葉にこれまでの苦労を思い出し、涙を流してしまった。
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