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それからも長電話は続き、話は尽きずに今はシンの謎の行動について話している。
『ハハハハ、アーハハハハ。
マジで面白い、日傘とか、両手叩きとか、ブフフッ』
「いやいや笑いすぎだから。
ああ見えて意外と優しいのかもしれないし」
ワンルームの中央、テーブルに置いたスピーカーモードのスマホに話しながら、周囲をコロコロで掃除する。
『え、何その口ぶり。
玲、あんたもしかして......!』
サスペンス風に語尾を強めた言い方。
一緒にいる時、これを使ってお互いを驚かすのが私たちのお馴染のくだり。
どんな顔をしているのかがハッキリと分かってしまい、思わず吹き出してしまう。
「フハッ、違うから、絶対ないし。
職業も年齢も不詳だし、名前も下だけしか知らない。
まぁ、授業は楽だし、あれで単位貰えるんならいいかなって感じ」
『ふーん。
だけどそれだけ謎めいてるんなら逆に興味そそられない?
何者なのかとか? 調べてみたらいいのよ、それだけお金持ってるんなら、どこかのお坊ちゃまかもよ?』
シンが、お坊ちゃま.....?
考えた事もなかったけど、明人さんは“俺ら金持ちだし”って言ってたから間違いなく何か凄い仕事をしてるんだとは思うけど。
結局その日はどこにも出かけず、部屋の片付けをしたり録り溜めたテレビ番組を見て過ごし、一日を終えた。
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