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昭和54年(1979年)
福岡の田舎町で実際に広がった噂である。
その朝、小学6年生の少年が登校すると、教室はいつにも増して騒然としていた。
「“口裂き女”ていうとが、来ようげな」
「隣町に出たげな」
「明日には、ここに来るげな」
何故か彼らは口裂け女とは言わず、“口裂き女”と呼んでいた。
この日は6年生の修学旅行の翌日だった。
この噂は≪下の組≫つまり、下級生からもたらされたばかりのものだった。
昨日まで修学旅行に浮かれていた子供たちは、すでにパニック状態だった。
みんな何かに取りつかれたように、口々に“口裂き女”の話をする。
その内容は以下のようなものだった。
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